サロンの現場をどこまで理解しているか??
業界で仕事をする上で最も重要なことであり、ここが欠けていると商品の開発も販売も的外れな結果となります。
私自身もディーラー営業の経験があることから、仕入の商談の際に現場を知っているメーカーさんの提案は心に響きます。同じ業界でありながら我々の位置する商社は現場に近いようで遠い存在です。一方で業界専門のヘアケアメーカーさんは常に現場を向いており、開発担当者は単独で常時サロンさんとコンタクトを取りテストやヒアリングを重ねて開発に専念されていますね。
私は海外営業担当時代に現地の代理店へ営業をする一方で現地の日本人美容師さんともよくお会いしました。海外の地で同じ日本人、同じ業界ということでどの方とも初対面でも直ぐに意気投合して話が盛り上がりました。
日本国内でも商品をサロンさんに導入するまでは時間と手間と労力がかかります。
業務用商品は特に・・・
現場を知っていれば知っているほどそれがノウハウとなり効率的な導入が可能になります。
それが海外となるとこれらの時間と手間と労力に言葉や文化の壁、代理店の教育と理解度が加わります。日本のサロンさんに導入するより数倍の時間と手間と労力とコストがかかるのです。
それらの時間や手間、労力、コストを少しでも緩和して効率的な導入を図るため、最前線で働く日本人美容師さんから現場の事や特有のトレンド・動向等の情報収集や商品のサンプリングをお願いする目的でお会いしてました。時には代理店主催の講習会のインストラクターをお願いしたこともあります。
あるとき輸出を検討中のメーカーさんから海外で営業をすることにどのようなメリットがあるのか聞かれたことがあります。
”貿易”というと皆さん数字が大きいという印象があるようですが、我々の商材は多品種につき、1種類をコンテナ1本で船積みするような商売はありません。
数字だけ考えれば言葉の通じる日本国内で商売をする方が効率的です。
ではなぜ日本より数倍の時間と手間と労力とコストをかけて海外で営業をするのか?
意外と知られていないのは・・・ 導入すると商品の息が非常に長いということ
日本では、業界問わずメーカ―さん主導の戦略で消費を促進するために毎年新製品を発売しますね。
私の肌感覚では家電やアパレルなどは顕著なのではないでしょうか。
スペック・素材や部品を変えてモデルチェンジやアップデートという形で。
理美容業界はそこまで早いサイクルではないにせよ数年サイクルで新しい原料・技術・商品が開発され商品の新陳代謝が行われていると思います。
海外における日本の商品は、前述の通り業務用、店販用を問わず導入まで膨大なエネルギーを費やしますが導入商品が定番化すると数字は安定し長期間に渡り売れ続けます。代理店もそれは理解しており彼らも長期的な定番化を目的として拡販には投資をします。
なので、メーカーさんはある程度のスパンで全社的な出荷数を見ながらアップデートやモデルチェンジを行いますが代理店はこれらを嫌がります。
当社が輸出しているあるメーカーさんの商品、当社の出荷個数・出荷金額 共に第一位なのは21年前に発売されたインバスのトリートメントです。原料や基材も当時のまま、そのメーカーさんの歴代のヘアケアラインを遡ること11世代前の商品です。
この傾向は当社に限らず他の日本のメーカーさんの商品も同様で日本では一昔前の商品が現地ではメインの定番品として販売されていることは普通にあります。またメーカーさんによっては日本国内では商品の入れ替えが終了して廃番品となり、輸出専用として販売されている商品もあります。
日本国内はメーカーさん主導の戦略
アジアは現地を知り尽くした代理店主導の戦略
ブランドを広げる目的は共通ながら大きくことなるこれらの戦略
今回はこの辺で